パルス幅の「分からない」をとても分かりやすく解説
パルス幅っていったら「なんか高度な設定」、「分かりにくいもの」といったイメージあるよね。
レーザー脱毛に限った話だと、パルス幅が話題になることが少ないです。
というのも、実務的には機械ごとに、パルス幅の推奨値があったりするので。
だけど本来、パルス幅は必ず考慮しなくてはいけない要素。
「パルス幅とはなにか?」をザクっというと、「レーザーが当たっている時間」と言えば半分合っています。
残り半分については、分かりにくい点をひも解きながらゆっくり順番にお話するね♪
レーザー脱毛といえば、「肌になにか強い光を当てる」というのは分かるよね。
そもそもの話、どれだけ科学にうとい人でも、肌に強い光を当てるならば、次の3つが絶対気になるはず。
・どれくらい「強い光」なのか
・どれくらいの「面積」にあてるのか
・どれくらいの「時間」あてるのか
この3つ。

ん〜?
脱毛するとき、そんなあれこれ考えていないけどー?

じゃ、
「今からあなたの顔にとても強い光を当てることになりました。」
って言われたら?

えっ、強い光って?
顔のどのへんに?
光の強さは絶対気になるよね。
そしてこの、「どのへん」って光を当てる範囲も気にしているよね。
そしてそして、
「一瞬だけだから大丈夫」
「強い光を長時間当てるけど大丈夫」
これだと、まだしも前者の方を選ぶよね。
一般的なひとの感覚で、「強い光を当てる」って言われると上記3つ(強さ、面積、時間)が必ず気になる。
パルス幅はこの「時間」に関わる部分。
(そして光の強さにも関わってくる)
当ページでは、パルス幅の「なんとなく分かりにくい」印象をなんとか突破して、分かりやすく、出来れば面白く、「パルス幅とは何なのか?」をお伝え出来たらなって思います。
そのためには厳密性は多少犠牲にして、とにかく分かりやすさ優先。
なので当然語弊ある表現は入るけど、専門家のひとあんまり怒らないでね。(助言は歓迎♪)
大体の語弊は随時フォローするので、その違和感は大事にしながら最後まで付き合って貰えたらなって思います。
・単純に「パルス幅ってなに?」を知りたい
・脱毛レーザーについてもうちょい詳しく
・美容看護師なのに教育が受けられない
ほんと初歩の初歩だから、各種施術の具体的な設定とかはまた別で勉強してね!
それから機械と設定値しか意識していない人にとっても役立つ内容になっていると思う。
それから本題に入る前に、一つだけ約束して欲しいことがあります。
この情報の受け売り、そのままパクって人に言わないこと。
繰り返しになるけど、当ページは分かりやすさ優先。
厳密性を欠いた話も含まれます。
パルス幅設定は割と危険も伴うもの。
へたなことを言って恥をかくだけならいいけど、思わぬ責任をかぶるリスクがあります。
なので、あくまで「理解のとっかかり」として利用してね!
六條かげり
脱毛に使ったお金は300万円以上。
もうずっと脱毛ブログを書き続けています。
最近はtwitter上で脱毛の疑問、悩みにお答えしています
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https://twitter.com/datumoushon
(当ページ内の分かんない点などあったらお気軽にどうぞ♪)
理工系の大学出身、および職歴が多いので、レーザーに関しても詳しいです♪
こっちは水野サン
生徒役になってもらいます♪
↓
このページの目次
パルス幅とはなんだ?
パルス幅は「幅」ってなっているけど、pとかの「長さ」を表すものではありません。
冒頭でお伝えしたとおり、パルス幅は「時間」を表すもの。
ただし単純に「レーザーが出ている時間」だと、まだ理解は半分。
無理やり一言でいうとパルス幅とは、
「そのレーザー照射1回分のエネルギー全てだしきるまでの時間」
って感じ。
もちろんこんな言い方では、「は?」ってなる人が多いので、ひとつ類似例を。
水鉄砲にもパルス幅的なものがあります。
水鉄砲も握り方によって勢いが全然変わってくるよね?
・ギュッと強く握ると一瞬で強く水が出る
・そ〜っと握ると比較的長い時間ゆるい水が出る
遠くに水を飛ばしたいときは一瞬でギュッと握るし、広い範囲を濡らしたい場合はゆっくり握りながら動かすよね。
脱毛レーザーのパルス幅も、この水鉄砲のギュッと握る時間と同じようなもの。
一瞬で強いレーザーを出すか、ちょっと時間かけて弱いレーザーを出すか。
それぞれ目的によって使い分けていきます。
たぶんこれだけで「ああそうか!」とはなかなかならないと思うので、順番に、具体的にお話をしていきますね。
ただ、パルス幅が何なのか説明するには、まず「脱毛レーザーがどんなものか?」をつかんで貰わなくてはならないです。
細かい話をするとキリがないので、とにかく必要な部分だけザックリお話します。
「ザックリ」なので理数苦手なひとも心配しないでね!
【前提知識】脱毛レーザーは、強い光が一瞬だけ出ている
レーザーがどんなものか、アニメとかで見たことある人も多いと思う。
強敵とかを究極兵器で倒したいのだけど、でもエネルギー充填に時間がかかってヤキモキ、、、「3・2・1・発射!」みたいな。
脱毛レーザーではそのイメージが割と合っています♪
敵は毛根。笑
脱毛レーザーってとても強い光。
そして出ているのは、ほんの一瞬。
もちろんレーザーの用途によって照射方法は色々。
たとえば会議で使うレーザーポインタだと「一気に放出」じゃなくって、弱い光を持続的に放出し続けるよね。

どうして一瞬なの?

一瞬じゃないと大火傷しちゃうから。
脱毛に使われるレーザーは人体に対してはかなり強いもの。
まともに当てると大火傷。
だけど弱い光では「毛を生えさせなくさせる」なんてことはとても出来ない。
だったら、、「強いレーザーを一瞬だけ肌に当ててみてはどうだろう?」という試みがレーザー脱毛のすごくザックリとした考え方。
一瞬というのはほんと、人が知覚出来ないくらいの一瞬。
100分の1秒(0.01秒)とか、1000分の1秒(0.001秒)とか。
機械や設定によってこの数値は変わってくるけど、要は「強い光をほんの一瞬」って感じをつかんで貰えたらOKです♪
「パルス幅はレーザーが出ている時間」は半分誤り、の、残り半分。

パルス幅が「レーザーが出ている時間」なら、狭くしたら効果下がりそうだけど。。
でもなんか、そう単純じゃないみたい、??

うん、パルス幅狭いと、その分強いレーザーが出てるよ♪
ここでようやく、冒頭の「半分合ってる」の残り半分の話。
パルス幅がレーザー照射をしている時間ならば、「パルス幅を狭くすると効果も下がるのではないか?」という疑問がでるよね。
でも実際はそういうわけではありません。
話をゴチャらせないために、特に断りがないかぎり「いつも同じ出力」前提で話を進めますね。
パルス幅を狭くしたら、当然レーザー光の出ている時間が短くなります。(そういう意味のものだから)
でもそのかわり、一瞬で「より強いレーザー」が照射されます。
雑にまとめると次のとおり。
・パルス幅狭い
⇒ 短時間で強いレーザー
・パルス幅広い
⇒ 長時間で弱いレーザー
とりあえずザックリとこれだけ把握してね。
レーザー1発のエネルギーは出力設定で決まっている
ここで把握しておいてほしいものがもう一つ。
「脱毛レーザー1発分のエネルギーは、照射前の設定で決まっている。」
ちょっとイメージわきにくいかも。
言い換えると、
「ため込んだエネルギーを一気に放出する時間」
って感じ。
上の方でアニメの必殺技(?)の例をあげたけど、なんかギュイーンってエネルギーを充填して、定まった量だけ充填したら一気に放出している。
(一気に放出するから威力があるわけで、ため込んだエネルギーを10日くらいかけて、ゆっくりゆっくり、そーっと放出していたら、たぶん敵は倒せないよね。)
ダムの決壊が何故こわいかというと、ため込んだ水を一気に放出するからだよね。
これが時間かけてちょろちょろだったら、誰もなにもこわくない。
要は「放出する時間」で威力が決まるってこと。
脱毛レーザーもあのイメージ。
(上の動画と同じもの)
「定まった量のエネルギーを何秒で放出するか?」
それがパルス幅。
(※実際は0.00何秒とかの一瞬)
放出する総量が決まっているので、短時間ならばイキオイあるし、長時間だとゆるいものがでる。
理解を深めるために、ここからいくつかたとえ話をしようと思うけど、その前に「エネルギーってなんだ?」って根本的な話をしますね。
(※「エネルギーってなに?」って聞かれてサクッとお返事出来ないひとはここも確認しましょう!)
エネルギーとは?
エネルギーとは、「ものを加熱することの出来る量」って言えば大体合っています。
厳密な物理的定義を言うと厄介になるので、あくまでレーザー脱毛の場合で考えるね。
「ものを加熱することの出来る量」っていうのもやっぱり、もってまわった言い方で分かりにくいかな。
アニメとかでエネルギー充填して、一気に光線を出して敵を倒す話を繰り返ししたよね。
その場合は、そのエネルギー充填した量。
大量に充填したらそれだけ強いのが出るし、充填50%とかだとたぶん弱いよね。
脱毛レーザーにどれだけのエネルギーを込めるかは、放出前の設定で決められています。(出力設定と照射面積によって決まる)
あとはそのエネルギーを一気に出すか、ゆっくり出すか、それを決めるのがパルス幅。
「エネルギー放出と加熱時間」について分かりにくい人もいると思うので、身近な例で考えてみるね。
エネルギー放出と時間の分かりやすい例:「カセットコンロで加熱」
例)カセットコンロのガスボンベ。
カセットコンロとボンベ
ガスボンベのエネルギー、「ものを加熱出来る能力の量」は、ガスの量で決まるよね。
当たり前だけど、ボンベ1本ではボンベ1本分だけお湯を沸かすことが出来る。
ただ、その過程はさまざま。
たとえば弱火でゆっくり加熱したら、湯が沸くのが遅い。
たとえば強火で加熱したら湯が沸くのが早い。
これはみんな知ってると思う。
当ページで特に注目しているのは加熱の時間。(パルス幅は時間の話題だったよね)
話を分かりやすくするため、ここではちょっと極端な例をあげてみます。
極端な例:大きな寸胴(ずんどう)は強火で加熱する?弱火で加熱する?
例えば中華料理店とかで使いそうな寸胴(巨大ゆで釜)。
これをカセットコンロのボンベ1本で加熱してみる。(のを考える)
・寸胴(大きいゆで釜)で湯をわかす
・カセットコンロボンベ1本で加熱
寸胴に水をたっぷり入れて沸騰させるにはどうしたらいいと思う?
たぶん、強火で加熱しようと考えるよね。
もしもこんな巨大なものに対して一番の弱火で加熱を続けたら、、、?
きっといつまでたっても沸騰させられず、カセットコンロだといずれガスが尽きちゃうよね。
これは容易に想像できると思う。
じゃあ次は、すでに沸騰してしまったら?
たぶんほとんどの人がギリギリ沸騰が維持出来るくらいまで火を弱めると思う。
ガスの量には限りがある(今回はカセットコンロのボンベの例)ので、その方が長く沸騰を維持出来るよね。
(維持したい場合は、だけど)
目的によって火力を強めたり、弱めたり、それはわたしたちが日常で普通にやっていること。
目的によっては弱い熱で長時間かけるし、目的によっては短時間で強く加熱する。
脱毛レーザーのパルス幅も似たような感じ。
ガスの加熱との対応を見てみるね。
レーザー1発のエネルギー⇔ボンベの量
パルス幅狭い⇔短時間でガスを使い切る(強火で短時間)
パルス幅広い⇔長時間でガスを使い切る(弱火で長時間)
(※おさらい)
パルス幅狭い=短時間で強いレーザー
パルス幅広い=長時間で弱いレーザー
こんな感じ。
雑で語弊ある表現だけど、とりあえずイメージはつかみやすくなったんじゃないかな。
そしてもちろん、脱毛のパルス幅にも適切な範囲があります。
広すぎても狭すぎてもいけない。
それら設定の話もしたいのだけど、その前に図版の見方を軽く紹介します。
(脳内イメージわきやすくなるので)
それから実査にパルス幅の設定はどういう根拠で決められるのか、順番にお話していきますね♪
パルス幅とレーザーの形、信号のカタチとの関係
わたしも脱毛レーザーの設計に詳しいわけではないけど、ふつうレーザーを出す場合、機械設定でそのレーザーのパルスの形状を決定します。
実際のレーザー照射時には、その信号を発振器(覚えなくていい)という部分に送り込んで、その信号のカタチに沿ったレーザーが出るって感じ。
信号はたとえばこんな形。
この図形の横幅がパルス幅で、0.001秒とか、0.01秒とか、すごく一瞬。
パルス幅を広くすると次のような感じ。
(レーザー1発のエネルギーが同じ)
パルス幅が広くなる分、レーザーのエネルギーが低くなっているのが分かるよね。
※あっ、これは大袈裟に描画したものだよ!
分かりやすさ優先で色々と要素を削っています。
本来は縦横に適切な単位と目盛り(数値)を入れるべき。
決して定規をあてて測ったりしないように!笑
あと、幅広になっても、やっぱり一瞬の出来事ではあるよね。
それから、この図を見て「自分が見たのと違う」って感じるひともいるかも知れません。
たとえば今まで見たのはこういう形のものかも知れない。
色んなサイトや解説の図解では上のカクカクした図(矩形)の場合もあれば、曲線もあって、混乱しちゃっている人もいると思う。
実はこの曲線も、上記のカクカクしたのも同じものをさしています。
カクカクしたのは信号。(矩形波)
信号がカクカクしていても、実際にレーザー照射した時の温度は連続的に変化するから曲線になるのが普通。
「同じものなんだな」って分かっていれば、あとはなんとなく理解できると思います。
曲線だと幅を決めにくいけど、一般にはこのピークの半分の高さあたりの幅で話をすることが多いです。
わたしも脱毛レーザーのパルス幅の厳密な定義、どこの幅を選択して決めているのかは未確認。
ただ実務的にパルス幅は推奨値が決まっていたり、調整する場合も操作盤の表示を元に調整するので、ひとまずは厳密な定義が分からなくても大丈夫だと思う。
脱毛レーザーのパルス幅。適切な設定は?(範囲、上限下限)
パルス幅の適切な設定は場面によって、各クリニックの方針や考え方によって変わってきます。
なので単純にひとつの数字をあげて「**がオススメ」って言うことは出来ません。
(レーザー波長、照射目的にもよる)
ただ、パルス幅がどうやって決まるのか、広いとどうなのか、狭いとどうなのか、一定の基準があるので順番にお話しますね。
パルス幅の設定の目安(範囲)
一般にレーザー脱毛のパルス幅の目安は3ms〜40msくらいの範囲だと言われています。
※ms=ミリ秒=1000分の1秒
分数、少数ではスッと理解しにくいので、この表記は使わせてもらいます♪
3ms=1000分の3秒(0.003秒)、40ms=100分の4秒(0.04秒)
人間の感覚ではいずれも一瞬ではあるよね。
それではまず、パルス幅の範囲の上限の話から♪
パルス幅の上限(これ以上長いと効果が出ない)

なんでパルス幅に上限があるのはイメージしやすいかな?

えっと、、加熱がゆっくり過ぎたら毛根の熱が上がりきらないから、、、かな?

うん、そっ♪
「レーザー1発のエネルギーはすでに設定で決まっている」って話はしたよね。
だったらあとはそのエネルギー(熱)を毛穴に素早く込めるか、ゆっくりゆっくり込めるか。
「ゆっくり」ということはつまり、「弱いレーザーを長い時間で当てる」ってこと。
(※おさらい)
パルス幅狭い ⇒ 短時間で強いレーザー
パルス幅広い ⇒ 長時間で弱いレーザー
毛根は周辺の皮膚組織等とピタリくっついているので、毛根の温度が上がったら周辺への熱の移動が起こるよね。
周辺へ熱が移動した分は毛根の温度も下がるということ。
上の方で「大きい寸胴を弱火で加熱したらどうなるか、、?」って話をしたよね。
あまりに弱火過ぎるといつまでたってもお湯が沸騰しない。
その理由は周辺の空気に熱が逃げていってしまうから。
毛根の加熱も同じ。
「毛根の熱が逃げちゃうペース」よりも、「レーザーの加熱のペース」の方が早くないと、望ましいレベルまで毛根の温度が上がりきらない。
レーザー脱毛の効果は「毛根を加熱」することで起こすものだけど、ここでは理解しやすくするために段階に分けてお伝えしますね♪
レーザー照射による毛根の熱の変化
レーザーによる毛根加熱の大部分の流れ。
(実際はもっと細かい段階にも分けられるけど、ここではザックリ話で。)
レーザー照射をすると、毛根全体に熱がいきわたります。
熱が毛根全体にいきわたったら、今度は周辺組織へと熱が発散していきます。
この毛根(体の組織一般でも)の温度がピークに達してから、その「最高温度から半分まで下がる時間」を「熱緩和時間」といいます。
※熱緩和時間
この言葉なんとか頑張って覚えてー!
要は「熱緩和時間が長いと熱が冷めにくい」って覚えたらOK!
「熱緩和時間」はそれぞれの組織によって違う固有の時間。
温度のピークから放置して、その温度が50%(半分)までになるまでの時間。
※単位は「℃」
毛根だとその範囲が40〜100ms(0.04秒〜0.1秒)くらい。
(範囲が大きいのは毛根の色や大きさもさまざまなため)
たとえば「毛根の熱緩和時間が長い」ということは、それだけ温度が下がるのが遅いということ。
逆に毛根の熱緩和時間が短い(=毛根がすぐ冷める)ならば、より短時間で一気に熱を込めないと脱毛効果を得にくいのが感覚的にも分かると思います。
・熱緩和時間が長い ⇒ 冷めにくい
・熱緩和時間が短い ⇒ すぐ冷める
・毛根の熱緩和時間(目安)
40〜100ms
・上皮の熱緩和時間(目安)
3〜10ms
※念のため
念のためだけど、レーザーを当てている間に温度が下がるわけではないよ。
熱緩和時間は、「温度のピークの状態からレーザーを当てないで放置したら*秒かかる」って時間。
レーザー照射時は当然、レーザーによる加熱と、毛根から熱が逃げていくことによる温度低下とのせめぎあいになるってこと。
そしてレーザー脱毛のパルス幅は、少なくとも毛根の熱緩和時間以内に設定しなくてはいけません。
具体的には順番にお話していくけど、その前に「半分」(50%)についてもう少し補足をしますね。
熱緩和時間の「半分」(50%)って何の基準?どこから出てきた??

「半分」って一体どこから出てきた話?
すごく唐突な感じするけど、、?

「半分」自体にそこまで深い意味はないよ。温度が下がるときの「目安」が必要なので、とりあえず「半分」に注目した感じ。
この「半分」(50%)の意味をキッチリとらえようとすると、余計に混乱しちゃうかも。
(興味ある人向けに、少し下で詳しく解説します♪)
とりあえずは、あんまり細かく考えなくていいと思う。
ただ、毛根の温度を確認するためにもなんらか「目安」が欲しい。
毛根を十分加熱するためには、以下が必要なのはみんな賛成してくれると思う。
「レーザーによる加熱で温度が上がるペース」 > 「毛根の外部に熱が逃げるペース」
こうじゃないと毛根の温度は上がらないよね。
パルス幅が広い場合、つまりレーザー照射に長時間をかけると、それだけ当たっている光は弱いので、十分に毛根の温度が上がりきれない可能性があるってこと。
※おさらい
パルス幅長い=長時間で弱いレーザー
パルス幅短い=短時間で強いレーザー
またちょっと極端な例で考えると分かりやすいと思う。
(毛根の熱緩和時間40msとする)
・10ms(短時間)で一気に強いレーザーを当てる
・1000msでゆっくりゆっくり弱いレーザーを当てる
弱火で巨大な寸胴の湯を沸騰させるのが難しいように、弱いレーザーで長時間かけても、なかなか毛根が望ましい温度まで加熱されないのです。
(時間かかる分だけ熱が外部に逃げるから。)
なぜ唐突に「半分」なのか?って話。
この脱毛の理論で「半分」の話が出てきた理由、経緯はわたしにも分かりません。
だけど理科学系ではよく「半分」が出てきます。
実はこれ、「1/3」でもいいし「1/4」でも構いません。
とにかく温度が下がる程度を人に伝える時には何らかの基準が必要だよね。
だから例えば「これは温度が1/3まで下がるのに**秒かるよ」とか。
そして単に「人間がより扱いやすい分数」ということで1/2にしている感じ。
(※単純に「*℃下がった」って温度を数字で言えばいいように思うかもだけど、実はそれでは扱いにくい。詳しく言うとかなり話がそれちゃうので、ここでは「分数が扱いやすい」とだけにしておきます。)
脱毛効果の研究結果というよりは、人間側の理解の都合でこういう数字の扱い方をすることは多々あります。
そして、「1/3」でも「1/4」でも構わないって話をしたけど、脱毛に関しては「温度があまり下がりきっていない状況」に興味があるので、1/3だとちょっと目安としてふさわしくないよね。
それと繰り返しになるけど、理学工学関連の話では1/2を基準に考えることが多いです。
脱毛以外でも例えば原発事故の放射線の基準でも「半減期」ってあるよね。
それもやっぱり、「放射線量が半分になったら安全」という意味ではないです。
それは単に「半分になるのに何年かかるか?」という目安。
放射線の量をはかる、人と情報共有する時に共通の基準、数え方が必要で、たまたまこの場合では「1/2」が採用されているって感じ。
なので、この放射線量も1/3を基準に考えてもいいわけ。
でも国によって、人によって、研究室によって1/2だったり1/3だったり、1/5だったりすると、話が伝わりにくいし議論や共同研究もしにくいので、一般に全世界的に1/2で統一して計算しているってわけ。
ちょっとムズかったかな?笑
今回このページを作るにあたり色んなドクターの解説をみたのだけど、「熱緩和時間以内にレーザーを当てなくてはいけない」というものが多かったです。
だけど、熱緩和時間以内ならばいいのか、よくないのか、明確な解説は見つかりませんでした。
そして実際の脱毛現場では、毛根の熱緩和時間ギリギリのパルス幅設定では脱毛効果を得にくいのが分かっています。
ただ、「さすがに温度が半分までさがってしまうような時間をかけてしまうと、毛根の熱が周囲に逃げて脱毛効果がでにくいだろう」というのは理解できると思います。
熱緩和時間以内までに熱を加えればいい(×)
熱緩和時間ギリギリの長時間をかけていたのでは、さすがに加熱が間に合わない(〇)
(熱緩和時間=組織の温度が「半分」になる時間)
こういう感じで受け止めておけばいいと思います。
熱緩和時間は単なる目安。
だから熱緩和時間ギリギリのパルス幅では脱毛効果が得にくい。
だけど、パルス幅を決定する参考にはなります。
毛根の熱緩和時間は大体40〜100msくらい。
そして最近の脱毛現場のオペレーションでは大きくても20ms〜30msくらいが多い。
ピッタリではないけど、でもそう大きくはズレていないでしょ?
(※もっと理論で詰められるかもだけど、医学書や英語の論文を見たり探したりはしんどいのでこのへんで♪)
パルス幅の上限がある(長すぎだと効果が見込めない)のは、そこそこ腑に落ちたかなって思います。
じゃあ次はパルス幅の下限について。
パルス幅の下限。狭すぎてはいけない。

だったらパルス幅は狭いほど効果高そうだけど、、、なんで下限があるの?
機械の限界?

主な理由は2つ。1つは安全♪
パルス幅が狭いほど毛根に熱が加えやすそうだけど、それはそれで、また別の問題が生じてしまいます。
というのも、人間の肌もやっぱりレーザーで加熱されてしまうから。
パルス幅が短いと火傷リスク高まる
レーザー脱毛は毛根の色が黒いのを利用しています。
色がより黒いほどレーザー光が吸収されやすく、その分熱が出やすい。
人の皮膚はあまり黒くないので、照射したレーザー光の大部分は皮膚を通り抜けて毛根にほぼ直撃してくれます。
だけど皮膚組織でも多少のレーザー光の吸収があります。
そして、光の吸収があればもちろん皮膚組織でも熱が発生します。
それが大体どれくらいから危険かというのが、今回お伝えした目安のパルス幅3ms以下くらいからだと思われている感じ。
(上皮の熱緩和時間が3ms〜10msくらいなのを目安にしている。)
そして、パルス幅を短くし過ぎてはいけないもう一つの理由。
パルス幅が短過ぎても効果出にくくなる?
あと、あまりにパルス幅が短いと効果が下がる可能性もあります。
パルス幅が短いと、毛だけが壊れて周辺組織(毛穴の中の「毛を生やす組織」)へ与えるダメージが足りなくなることも。
というのも、「毛を生やす組織」は、毛そのものではなく、毛の周辺の組織にあるものだから。
周辺組織にダメージを与えるためには、ある程度時間をかけることが必要。
「毛根にため込んだ高熱」が周辺組織に移って、その熱が周辺組織にダメージを与えて、それで脱毛効果を得る感じ。
※逆に肌のシミとりレーザーとかは、パルス幅がとても短いです。シミの超薄い層だけを加熱したいから。(後述します)
たとえば、毎回の脱毛ではしっかり毛が抜けている、でも何回通っても生えてくる。
そういう場合は毛の周辺組織の加熱が十分ではない疑いがあるので、パルス幅を広めにして周辺組織を加熱してみる価値はあります。
また、毛が細い場合も。
短時間に強いレーザーを当てても加熱に限界があるので、だったら長時間かけて(レーザー照射は一瞬ではあるけど)周辺組織を加熱するというのも1つの手段になるでしょう。
毛の状態、脱毛の経過に合わせてパルス幅を調整するのは有用です。
(ただ、パルス幅を調整するクリニックはとても少ない)
パルス幅の最小3msはあくまで目安
パルス幅の範囲が3〜40msって話をしたけど、実際は3ms以下でレーザー照射するケースもあります。
※上皮の熱緩和時間が3ms〜10ms。「3ms」はその小さい方(危険な方)。
余裕をもって安全をみるならば、10ms以上のパルス幅が望ましいように思えます。
(皮膚がすごく冷めにくい場合でも、10msあれば温度が半分になる。それくらいの長いパルス幅でレーザーを当てれば火傷はしないだろう、、って考え。)
ただ、実際は3msでレーザー照射している機種もあります。
ジェントルレーズがそれにあたります。(ジェントルレーズ、ジェントルマックス)
ジェントルレーズはパルス幅3ms推奨だけど、それって大丈夫!?
脱毛レーザーのパルス幅は20〜30msくらいって話をしたけど、ジェントルレーズは3msで使われることが多いです。
目安より1桁小さい、それだけ一瞬で強いレーザーが出ているってこと。
「そんな短いパルス幅でレーザーを当てちゃって大丈夫か?」だけど、とりあえずは大丈夫。
ジェントルレーズはすでに実際の現場で多く使われていて、そしてそう次々と火傷が起きているわけでもないので。
皮膚(上皮)の熱緩和時間は3ms〜10ms。
「熱緩和時間が長い=冷めにくい」だったよね。
熱緩和時間に範囲があるのは、人(部位)によって違いがあるから。
なので今からレーザーを当てる皮膚の熱緩和時間がどの程度か、それは分からない。
3msかも知れないし、10msかも知れない。
なので例えばここでも極端考えて、皮膚の熱緩和時間が10msとします。(かなり冷めにくい)
その皮膚に、パルス幅3msのレーザーを当てちゃうと、皮膚の熱が一気に上がってアブない気がするよね。
だけど上の方でお話したとおり、熱緩和時間は目安。
熱緩和時間以内の照射が必ずしもそのまま危険とは言えないです。
熱緩和時間は「火傷する時間」ではなく、あくまで「その組織の最高温度が50%にまで下がるまでの時間」なので。
※とはいえ、個人的体感ではジェントルのトラブルは他より多い
ハッキリとしたデータがあるわけではないのだけど、わたしの今まで口コミを見てきた感じでは、やっぱりジェントルレーズ(ジェントルマックス含む)の肌トラブルが多いように思います。
というか、他の機械でのトラブルはほとんど見かけない。(蓄熱式は別)
他の機種だったら普及も少ないという理屈もあるけど、ライトシェアならば普及もかなり多いので、こちらでも度々見かけてもいいはず。
もちろんジェントルのトラブルを見かけるのも稀だし、効果面での評判もいいです。
だけど、「もしかしたら」くらいは想定して用心しておいた方がいいし、理屈上もやっぱり危険度が違います。(レーザー波長的にも)
とはいっても、各クリニックでレーザー出力調整をしていて、いきなり高出力から始めるクリニックは稀なので、大きな心配は必要ありません。
パルス幅は狭いほど瞬時に高熱が出る。
それだけ危険にもなる。
この辺はどれだけ理論があっても、肌質は人それぞれ、効果、希望も人それぞれなので、どれだけ攻めてもいいかは各クリニックの経験の蓄積が必要なことだと思います。
※開拓した先人に感謝♪
日本にレーザー脱毛の普及し始めたころは、きっとレーザーに詳しいドクターのみしか扱えなかったのだと思います。
欧米から機械を輸入してきたわけだけど、でもメーカー推奨のパルス幅ではどうも日本人には合っていない、効果が適切ではなかったようです。
(どこかで聞きかじった話で真偽が定かではないけど、、汗)
それで各クリニックでパルス幅を調整して、なんとなく目安みたいなのができて今にいたる感じ。
昔のドクターが書いたwebページの解説は困難で分かりにくいけど、でもそれらのドクターが色々試してきて、それで現在の医療脱毛が受けられるようになりました。
最近は次々と新しい脱毛クリニックが登場しているけど、全てはそれらのドクター等の努力の上に成り立っているって感じ。
すごく古いwebページ(共立美容外科のドクターのコラム)
http://www.s-kyoritsu.com/blog/blog.cgi?time=1228639531&id=KK&mode=&category=11
脱毛以外のレーザー治療、極端な例を考えると分かりやすいかも。
ここまでの説明で分かったような、分かんないような、、って場合は脱毛以外の美容レーザーを考えるともうちょい理解が深まるかも。
たとえばシミ取りレーザー。
シミは肌表面のすごく薄い層。
毛根ほどのボリュームがないので、一瞬で加熱が可能。
そして、脱毛レーザーみたいに肌を通り抜けるといった事は必要ないので、とにかく肌表面のメラニン(黒い色、レーザーを吸収して高熱発生)のみをターゲットにしたらOK。
そのためパルス幅もすごく短いです。
脱毛レーザーが100分の1秒くらいだとしたら、シミ取りレーザーは10億分の1秒とか、1兆分の1秒とか、ほんと凄まじく一瞬。
(シミ取りレーザーでナノとかピコとかいうのは、この10億とか1兆とかの桁のこと♪)
ターゲットの組織はその場で破壊され、脱毛みたいに高熱の毛根がその場に留まるわけでもないので、周辺組織へのダメージも大きくなりにくい。
あと、シミ取りとかは浅い部分のみで高熱を出したいので、レーザー波長の短いものを使うことも。
それに出力設定はどうするのかなど、複数要素があってまた別の話になってしまうので当ページではこの辺でー。
パルス幅はほんと目的によって色々。
当ブログでパルス幅について解説出来るのはここまで。
もっと調べたいならば、熱緩和時間とか、そのままパルス幅とか、美容皮膚科関連のキーワードでググったら、最近は色んなドクターが解説してくれています。
専門ドクターは不用意なことが言えないので、どうしても内容が難しくなりがちだけど、そのかわり正確性を大事にしています。
当ページの内容でザックリ理解してからであれば、「何の話をしているのか分からない」って感じは抜けだせるんじゃないかな。
今まで色んな解説を見て分かんなかった人も、たぶん今後はいくぶん理解しやすくなっていると思います。
少しでもその役に立てればうれしいです♪
それではー!
【おまけ】レーザー出力とエネルギー。ゴチャらないために。
「それではー」と言いつつ、おまけ。笑
今回はレーザーの強さにエネルギーという言葉を使ったけど、脱毛の現場とかwebで見かける情報でも、扱うのは「エネルギー」じゃなくて「出力」だよね。
話がゴチャってはいけないから、この辺の違いをゴリ無視して進めてきたけど、改めてその違いについてお話します。
出力とエネルギーの関係
出力とエネルギーは、同じもの。
「同じもの」だけど表現方法がちょっと違うもの。
肌に「強いレーザー」を当てるには3要素が気になるって話を冒頭でしたよね。
・レーザーの強さ
・当てる面積
・当てる時間
今回は主にはこの時間に焦点を当ててお話しました。
そして「レーザーの強さ」が出力。
通常は客の立場でも施術者の立場でも、レーザー脱毛で話題になるのは「エネルギー」ではなくて、「出力」の方だよね。
出力とエネルギーの違いは以下のとおり。
・エネルギー
レーザー照射口全体から出ているのがエネルギー
・出力
エネルギーを照射面積で割ったもの
まあ肌に当たるレーザーがどれだけ強いかって話なので、「レーザーの強さ」=「面積当たりのエネルギー」=「出力」って考えた方が話が通りやすいよね。
「レーザーの強さ」が出力なのであれば、出力に面積を掛け算したら、それが照射口から出てくる全エネルギー。
実際の計算(割り算)を見た方が分かりやすいと思う。
ジュール(J、熱、エネルギー)を面積で割ると出力になる。
・照射口の面積5[cm2]
⇒レーザー出力は2[J/cm2]
(10/5=2)
・照射口の面積2[cm2]
⇒レーザー出力は5[J/cm2]
(10/2=5)
・照射口の面積100[cm2]
⇒レーザー出力は0.1[J/cm2]
(10/100=0.1)
同じエネルギーでも、広い面積に利用すると、それだけ肌の部分部分に当たる光は弱くなるよね。
逆に同じエネルギーでも狭い面積に集中したら肌が焦げちゃうかも。
小学生のときにやった、虫眼鏡で太陽光を集中させて紙を焼く実験を思い出してほしい。
単に太陽光にあたるだけで火傷する人はほぼいないよね。
だけど、同じ太陽光でもその光を一点(小さい面積)に集めてあげたら紙が燃えちゃう。
光の強さを考えるときには、必ず面積あたりの強さが必要なのは理解出来ると思います。
出力には時間(照射のイキオイ)の概念が入っていない
復習をかねて、レーザー出力とパルス幅の話をもう一度して終わりにします♪
レーザー出力は例えば、10[J/cm2]とか表記するよね。
この単位の部分を見てみると、そこには「時間」の要素が入っていないのが分かります。
(J=エネルギー、cm2=面積)
レーザー脱毛ではエネルギーが設定で決められるけど、でもそれを一瞬で出すのか、長時間かけて出すのか、その要素が不明だよね。
(エネルギー=出力に面積をかけたもの)
その不明点の答がパルス幅。
もちろん、今の日本のレーザー脱毛ではパルス幅は推奨値でほぼ決っているので、現場でも気にすることもほぼ無いと思います。
だけど、ここまで読んでくれた方には、きっと「パルス幅は本来は必要な要素」だってことは理解出来たんじゃないかな。
出力の数字表記だけ見て「これじゃ足りなくね?」って感覚が自然とわいてくるようになったら、かなり理解が進んでいると思います♪
おしまい
当ページでは出来るだけ専門用語を少なくしたつもりだけど、それでもと新しい概念とかをいくつか覚えなくてはいけなかったと思います。
1回で全部理解は難しかったかも知れないけど、でもゆっくりひとつずつ覚えていけば理解出来るように書かれてあると思う。
パルス幅は推奨値でほぼ決っているものなので、客の立場ではあんまり必要の無い話かも知れない。
だけど例えば脱毛効果が出にくい場合、硬毛化してしまった場合、このパルス幅をイジることで「もしかしたら望みがあるんじゃ?」って気はしてくるよね。
わたしも脱毛現場に関しては客として関わるくらい(たまに取材はするけど)なので、当ページも現場感覚で見るとどこかモヤモヤするような部分もあったかも知れません。
だけどあまり教育を受けられない脱毛現場の看護師さんだと、「なんかパルス幅を短くすると毛がポップアップしやすいらしい、、?」くらいの状態からもう一歩先に進めるような、そんな内容になっている、なっていたらいいなーって思います♪